だって 隠されると知りたくなるじゃない?

彼のデータブック

、君はそこで何をやっているのかな。」


突然、真後ろから声をかけられた。
私は、びくっと身体を震わせ、冷や汗をかく。


「いやぁ、何かなぁ。」


私は、照れ隠しのように笑顔を作りながら、振り向く。
ただし、手は後ろに隠したままだ。


「返答次第では、乾特製野菜汁をお送りしよう。」

「ちょっ、それは勘弁して!」

「わかったから、何をしていたか言いなさい。」


私は、項垂れるようになりながら、説明した。


「乾のね、データブックには、何が書いてあるのかなぁって思って。
 テニスのことだけなのか、それ以外にも書いてあるのか。」


乾は、見えない眼鏡の奥で少し笑ったようで、こう言った。


は、何でも興味津々なんだな。まあ、俺の彼女としては合格点だな。」

「何よ、それ。じゃあ、これ見よがしに置いてあったのは、私を試すためだったの!?」

「いや。結果的にはそうなったが、単に忘れてただけだ。」

「乾でも、そんなことあるんだ。」


私が一人で納得してると、こう聞かれた。


「それで、何が書いてあったか、わかったか?」

「ううん。ほとんど暗号みたいでわかんなかった。」


実際には、何となくわかる部分もあったが、テニス関連の事項はわからなかった。
ただ、偵察した人の情報などは、まだわかりやすく書いてあった。


「そうだろうな。そのデータブックは、俺以外のやつには、解読不能の代物だからな。」

「そうなんだ。面白いね。」


私の返答が意外だったらしく、眼鏡が光った。


「そうか。面白いか…いいデータがとれた…。」


独り言のようにそう言うと、もう一冊のデータブックを取り出して、何やら書き込んでいる。

恐る恐る、尋ねてみる。


「ねぇ、データブックって2冊あるの?」

「いや。」

「もしかして、私も入っているの?」

「いや。」

「なんだ、よかったぁ。」


私はホッとして、データブックを乾に返す。


「あ!乾特製野菜汁は?」

「ああ。返答が満足いくものだったから、なしだ。」

「よかったぁ。」


私は、笑顔になって歩き出す。
その後ろで、乾がデータを取り続けているとも知らずに。


(データブックは2冊以上あるからな。さっきの返答は間違いではない。
 に関してのデータ収集は、もはや趣味と言っていいから、データ収集には入らないだろう。)




こんな二人は、付き合って1年経つ。

Fin.
2008.4.15

背景素材:

―――――あとがき―――――
乾第一弾です。
書きにくいのか、書きやすいのか、よくわかりませんでした。
初めの乾の一言が書きたくて書き始めたので、その後の展開に苦しみましたね。
でも、乾特製野菜汁も出せたことですし、満足です。
乾のデータブックは、一部流出していますが、まだまだ謎がありそうですよね。
それをヒロインに暴いてもらおうと思いましたが、出来ませんでした。
それでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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