オレンジの陽     希望の笑顔

やっと見つけた大切なものは  僕が守っていく

陽の光に照らされて -3-

そこには、あの日と同じ様なオレンジの陽を浴びた君が立っていた。
帰っていく友達に手を振っているみたいで、僕には気付いていない。

その姿が綺麗で、僕は目が放せなかった。
よく使われる言葉だけど、本当にそうだったんだから仕方ないよね。

夕陽のオレンジは少し切なくなる。

だけど、その中に君がいるだけで そんな感情はなくなってしまう。
オレンジの陽を浴びて微笑む君は 綺麗なだけじゃないんだよ。

『明日はあるよ』という希望を与えてくれるんだ。

この夕陽は今日の終わりじゃない、明日へ繋がる夜の始まりなんだよ、と。


「あ、不二くん。」

さんが僕に気付いた。

「ごめんね。待たせちゃって。」

「ううん。そんなに待ってないよ。」

「そうなんだ、よかった。それで、話したいことなんだけど…。」

「うん。」




さんが好きなんだ。」




僕はさんの瞳を見て告げた。
今、彼女の瞳には僕が映っている。

するとさんは一瞬驚いた表情をした後、微笑ったんだ。
いつもの笑顔で。


「え。」


もっと驚くと思っていたから、思わずそんな声が出た。



「知ってたよ。」



さんは一体何を言い出すのだろう。

僕は意を決した告白後の意外な反応に珍しく動揺していた。
そんな僕を知ってか知らずか、さんは説明し始めた。
さっきの一言と笑顔の理由を。


「知ってたっていうより、気付いてたっていう感じかな。」

「何を?」

「不二くんが今日告白してくれること。」

「え。そんなに分かりやすかったかな。」

「だって、『話したいことがあるから待ってて。』なんて、相談か告白くらいでしょ。」

「ああ、確かに…。そうだね。」

「相談か告白かまでは絞れなかったんだけどね。―――告白で嬉しかった。」

「!?それじゃぁ…」


「ありがとう。私、不二くんが好きだよ。」

さんはそう言うと、僕から瞳を背けて俯いてしまった。
きっと、すごく どきどきしているんだろうね。
さっきの声、震えていたし。


さん。」


呼びかけると同時に彼女の両手を掴んだ。
さんは少し驚いたみたいで、顔を上げて僕を見る。


「帰ろうか。」

「……うん。」


嬉しいけど恥ずかしい、という笑顔だったけど、その笑顔は僕を見てくれている。


君はこれからもたくさんの人にその笑顔を見せ続けるだろうね。
本当は僕のものにしてしまいたいけど、他の人に見せるな、なんて言わない。

その代わり、一番多く、近くで見続けられるのは僕だけだよ。


君の笑顔は守るから。


「どうしたの?不二くん。」

「ううん。何でもないよ。あ、いつかは話すと思うけどね。」


そう言って両手を離し、二人で並んで歩き出した。


「んー。今はだめなの?」

「うん。」

僕は笑顔で答えた。

「分かった…。あ、じゃあ…私のどこが好きになったのか教えて?」

「それも今は教えないよ。」

「どうして?」

「だって、僕たちは今始まったところなんだ。
 これから、色々なことを話してお互いを知っていくんだから。
 楽しみはとっておいた方がいいよね。」


そう言ってさんの顔を覗き込むと、顔を背けられちゃった。
調子に乗りすぎたかな。


「………うん。そうだね。」


ぽつりと言った君の返事が嬉しかった。


。」

「え。」

「これからは、こう呼ぶからね。」

「…うん。」


左隣を見ると、そこにはの笑顔があった。

未だ沈み切らないオレンジの陽にキラキラ照らされている。

みんなに、何より僕に希望を与えてくれるあの笑顔。


、一つだけ教えてあげようか。」

「うん!何、なに?」

「次の日曜日、は僕とデートだよ。」

Fin.
2003.9.15

背景素材:

―――――あとがき―――――
初夢小説です。出来はどうであれ、夢書きへの大きな第一歩です。
自分にここまで話を書くことが出来たことは驚きでもあり、嬉しくもありました。
内容は、不二さんに片想いをして欲しかったということだけです(笑)
結局、両想いだったのですがね。
自分自身、綺麗な夕陽を思い浮かべながら書いたので、それが伝わればいいな、と思います。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

Back

夢小説[青学]頁へ戻る

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送